不動産市場における2022年問題(生産緑地地区放出問題)

不動産市場における2022年問題(生産緑地地区放出問題)

本日は、不動産投資市場の2022年問題についてお話しさせて頂きたい。

以前、下記記事でもお話した通り、私は住居用マンション・投資用マンションの共に所持しているが、購入までにどんなことを考えていたかをシェアさせて頂ければと思う。

 

ズバリ!投資用マンションは買うべきか?

よく耳にするオリンピック問題もあるけれど…

よくオリンピック終了後に不動産価格が暴落するなんて話を耳にする。晴海、勝どき、月島あたりのいわゆる埋め立て地については、筆者も少なからず暴落するのではないかと考えている。

というのも、オリンピック終了後には、選手村であった土地がHARUMI FLAG(晴海フラッグ)という名で新築タワーマンションとして販売に出されることが決まっている。

すでにオリンピック問題が不動産価格にも織り込まれ始めてきており、晴海のタワーマンションの最上階近くの部屋でも手の出せる価格帯になってきている。

HARUMI FLAGが気になる方はこちらの記事を読んで頂きたい。

【晴海フラッグ・レビュー】東京オリンピック選手村跡地に建設される湾岸エリアの新築タワーマンションHARUMI FLAGは買いか?

こうして、一気に押し寄せるマンションの供給過多により、暴落は免れない可能性が高い。価格が安くなることにより、郊外からの流入も相まってしまうと、その周りの関東圏にも影響を与える。つまり、ドミノ式に下落するのだ。都心を除いては、ダラダラと下げていくことが予想される。

しかし、このオリンピック問題よりも恐れていることがある。それは、都市部にある東京ドーム3,000個相当にも及ぶ農地が一斉に不動産市場に放出されることだ。しかも、郊外ではなく、東京、名古屋、大阪などの都市部である。

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と思われた方も多いだろう。順を追って説明していく。

 

オリンピック問題よりも危険な生産緑地問題

前述した東京ドーム3000個相当の土地は、生産緑地地区と言われるもので、1990年代前半に都市部の農家を守ろうと、当時の自民党が打ち出した政策である。

本来は都市部が故に多額の税金がかかってくるところを、農業を営んでくれるのであれば、固定資産税を何百分の一まで減税してあげるよと言った減税措置だ。当時、この期限を30年ということにしていたのが、その30年がついに切れるのが2022年なのである。

では、この期限が切れた後はどうするのかという問題が浮上するが、国もさすがに危機感を感じ、2~3年ほど前に生産緑地地区で農家を営む方たちにアンケートを取ったそうだ。

すると、7~8割の農家は、「今は売るつもりはない」と答えたという。真意としては、後継に継がせたいようだ。しかし、現状はそれほど甘くなく、農家離れが続いている世の中で後継者が見つかっていない可能性が高い。

つまり、後継がいない故に農家が続けられないので、強制的に売却を迫られるのことになるのではないかと考えられる。もちろん一定の要件を満たせば、減税措置を10年延長するなどの対策も打たれているようだが、個人的にはこの対策ではまだまだ弱い気がする。

仮に30%の農地が放出された場合、東京ドーム800個相当の土地が不動産マーケットに放出されることになるが、この放出が及ぼす影響だが、問題になるのは、土地がどこで出てくるかである。

山手線の内側はまだ安心か

生産緑地地区の65%は世田谷区と練馬区である。

実は、生産緑地は山手線の内側には一切ない。東京23区の中で外周部に集中しており、65%が練馬区と世田谷区に存在している。

世田谷区については、建物の高さ制限が厳しいので、マンションではなく戸建てが建設されるであろう。新築分譲戸建の価格が必然的に安くなるのだから、これから購入を考えている人にとっては、買いやすくなる分、既に戸建てを所有している人にとっては、資産価値が落ちることを想定しておかなければならない。

このように、生産緑地の2022年問題で土地価格が下落する可能性があるのは、郊外の土地や戸建てになると思われる。

これから人口はドンドン減少していく…

東京都の人口予想的には、都心部は2030年までは人口が増えるものの、都心部以外は2020年をピークに減少をしはじめる。つまり、この人口減少と生産緑地地区放出が相まって、大打撃を生む可能性は否定できない。

※東京都の人口予測(都区部と都下)/ 出典:東京都

こうして、これからますます不動産マーケットは三極化がさらに増してくると思っている。

  1. 価値が維持もしくは上昇する土地
  2. ダラダラと価値を下げる土地(一番多い)
  3. 無価値となる土地

これから考えていかなければならないこと

このように2022年問題の行く末を予想しながら、住居用・投資用のマンションを購入すべきかどうかを検討する必要がある。

不動産関連の記事として、投資用マンションや、持ち家VS賃貸などについても書いているので、様々な観点から不動産を見ることができるように是非とも一緒にご一読頂きたい。

 

「持ち家」vs「賃貸」くだらない議論はもうやめないか?

 

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