【晴海フラッグ・レビュー】東京オリンピック選手村跡地に建設される湾岸エリアの新築タワーマンションHARUMI FLAGは買いか?

【晴海フラッグ・レビュー】東京オリンピック選手村跡地に建設される湾岸エリアの新築タワーマンションHARUMI FLAGは買いか?

東京オリンピックという日本をあげた大きなイベント後ということもあり、かなり注目が集まっていることと思うので、一般論として考慮するポイントも交えながら筆者の考えを記載していこうと思う。

晴海フラッグ(HARUMI FLAG)とは?

オリンピックの選手村として使われた跡地は、オリンピック終了後に改修されて「晴海フラッグ(HARUMI FLAG)」という名の新築マンションを建設する土地として利用されることになる。

戸数規模は、分譲用戸数が4,145戸、賃貸用戸数が約1,487戸と言われており合計戸数はなんと5,632戸にも及ぶ。

販売予定の間取りはを見るに1戸あたりの住居人数は3~4人だとすると、総居住人口はざっと15,000~20,000人だろうか。

中央区の人口が約160,000人なので、20,000人の流入インパクトはかなり大きい。

このマンションは、この5月から売りに出されることになっているが、モデルルームの予約状況自体は好調ではあるようだ。

値段については、はっきりはしていないようだが、坪単価でいうと250~300万円と言われており、周辺の新築マンションと比較してみると、かなりお手頃な金額の印象であると言えよう。

加えて、晴海フラッグによって相当数の戸数が湾岸エリアに増加するので、月島、勝どき、豊洲あたりの既存の物件価格の下落は避けられないかもしれない。

橋を渡るか渡らないかは、大違いなので銀座、築地エリアに与える影響は限定的か。

現在、中央区は新築マンションの供給制限を行なっている。今後、無尽蔵に新築マンションが増えることはない安心感はあるものの、晴海フラッグだけで相当なボリュームには変わりない。

最大懸念は引き渡し時期!ローン適用金利は5年後の金利!

筆者が考える最大の懸念を述べるとすると、「引き渡しの時期」である。オリンピック後に建設を開始し、2023〜2024年頃に引き渡しとなるので、引き渡し時期は今から4〜5年後である。ここではローン金利を中心に記載していくが、そもそも4〜5年後に東京で勤務しているかも不明だし、家族構成だってどうなっているか不明であることも併せて考えておく必要がある。

住宅ローンの適用金利に話を戻すが、通常住宅ローン金利というのは、一般的な金融機関やフラット35での借り入れであれば、物件の引き渡し時の金利が適用されることになる。

では、今から4〜5年後の金利がどうなっているかなど想像できるだろうか?決して足元の超低金利を前提として考えてはいけないだろう。足元以上に超低金利になる可能性は限りなく低くても、金利が上がっている可能性は十分にあり得るのだ。

つまり、実際に契約して5年後くらいに引き渡しを受けた時には、想定とは全く違ったローン返済の金額が待ち受けている可能性が高い。そう言う意味では、やはり、かなり先の引き渡し時期である物件を現時点で購入の決断をするのは、それなりにリスクが高いと言えるのではないか。

例えば、35年5,000万円で借りた場合、1.5%の金利が3.0%になるだけで総支払額が1,600万円も増えることになる。

6,400万円の総支払額だと思っていたマンションが、蓋を開けてみると実際は支払い額が1,600万円増えてしまい8,000万円の総支払額のマンションになっていたなんてこともあるかもしれない。これだけ想定とズレれば、かなりの家計負担は増加する。

 

 

財形住宅融資を利用すれば、申込時の金利を適用できる

将来の金利上昇に対するリスクを回避する方法として考えられることとすれば、申し込み時の金利が適用される住宅ローンに申し込むことである。いわゆる「財形住宅融資」と言われるものである。この財形型の住宅ローンが使えるのであれば、使ってみるのも手かもしれないし、この物件の最大の懸念点を払拭することが可能となるのではないだろうか。

しかし、この財形型の住宅ローンにも落とし穴は存在する。返済期間の間、ずっと固定金利で借り入れできるわけではない。5年ごとに適用金利が見直しになるので注意して欲しい。正直、筆者はこれ以上、金利上昇に備える方法を知らないので、ご存知の方がいれば教えて欲しい。

第二の懸念は「交通面」!!

最寄駅は大江戸線「勝どき」駅であり、徒歩20〜30分でかなり駅から遠いことに加え、大江戸線自体が新しい路線ということもあり、地下深くに作られているので、電車に乗車するまでにも時間がかかるのである。

いくら中央区の都心だとは言っても利便性という意味では、あまり好ましいものではない。地図をご覧になればわかるが、もはや孤島と言った具合である。

「高速バス(BRT)ができるから問題ない」は大間違い

今後、東京BRTと言われる高速バスが稼働し、晴海などの湾岸エリアから新橋方面へ行きやすくなるようにするようではあるが、道路の混雑状況などを考えると不安点は多いし、実際稼働してみないとスムーズに稼働できるかも甚だ疑問である。

BRTなんてイカした名前がついているが、所詮はただのバスである。1台あたりの定員が130名と言われているが、電車1両分にも満たない。こんなバスで毎朝何千人も送り迎えするようなシステムを形成したところで、果たしてうまく稼働するのであろうか。

総戸数約5,600戸のうち、1.5人が労働人口だと仮定すると労働人口は8,400人。そのうち、橋を渡って新橋駅や東京駅方面に働きにくる人を7割とすると約6,000人。もちろん電車を使う人もいるが、少なからず3,000~5,000人規模の送迎をバスを使って行うこととなる。

定員130名のバスだとすると片道だけで65台のバスが東京中を行き来することになる。想像しただけで、混雑が予想され、到底うまく稼動できるとは思えない。

晴海を含む湾岸エリアの将来性は?

晴海フラッグを含む湾岸エリアを東京都や中央区が、今後どのようにプロモーションしていくかが重要になってくるであろう。興味を唆る娯楽施設を作るもよし、ランドマーク的な観光施設を建設するのもよし、住みやすい公共施設を建設するのもよし。うまくプロモーションを行うことができれば、新たな魅力溢れる湾岸エリアとしてプラス方向へ進むことも十分に考えられ流だろう。

例えば、武蔵小杉は、昔は工業地域であったが、上手なプロモーションと開拓のおかげで武蔵小杉ブランドとしての価値を見出す形となった。

いずれにしても、現時点では何もない更地の土地に新築マンションを建設することから始まるわけなので、晴海フラッグの今後の動きに注目していきたい。

 

 

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