不動産セミナーなどに参加してみると一番多い質問はこれである。
「良い不動産屋の見つけ方はありますか?」
「良い不動産(物件)と出会うためにはどうしたらいいですか?」
この記事では、「良い物件を紹介してくれる不動産屋」を「良い不動産屋」と定義した前提で話を進めていこうと思う。
この議題を考える上では、2つの視点から見ていく。
ひとつは「不動産屋の担当者」、もうひとつは「自分がどう行動するか」という視点である。この二つをうまく活用し、シナジー効果を生み出すことができれば、あなたは良い物件に近づくことができるかもしれない。
まずは、「不動産屋の担当者」という視点から見ていこうと思う。
そもそも不動産市場の構造を知っておく必要がある。仮にひとつの物件が売りに出されたとする。その際に不動産屋の担当者は、晴れて契約が締結されれば、売主から売却価格の3%を得ることができる。
加えて、自分で買主も見つけることができれば、更に3%を得ることができる。つまり、うまくいけば6%の手数料を得ることができるので、担当者はなるべく自分で買主も見つけようとする。
通常、物件が売りに出されると、物件情報をコンピューターでポータルサイト的なものに登録して不動産市場に広め、買主を幅広く探す。しかし、買主からの手数料3%を他社に取られたくないがために、他社からのオファーを一切寄せ付けず、自分で買主を見つけるまで契約を成約させないような動きをする。こういった担当者は非常に多い。大手の不動産会社でも多数存在する。
言わずもがな、この動きは売主にとっては、かなり不利益である。買主の立場からしても、この担当者を通してでなければ、物件が購入できないので同様に不利益である。
このような動きを当たり前だと思っている人も多いようだが、これは業界の常識が世間の非常識である典型的な形である。もちろんすべてを自分の手柄にしたい気持ちもわからなくはないが、自己の利益のみを追求しない不動産屋の担当者を見つけることが大事なのかもしれない。
次に、良い物件を見つけるために「自分がどう行動するか」という視点で見ていこうと思う。
不動産屋の担当者とやり取りしていく中で予算、地域、間取り等の自分の状況を伝える段階があるはずである。これを受けて、担当者が物件探しを始め、物件があれば紹介されると思うが、物件を紹介されたら、自分にとって良い物件であるのか、悪い物件であるのかをなるべく早く伝えるべきである。また悪い物件なのであれば、どこが悪いのかを明確に伝えなければならない。
このレスポンスがうまくできないと、担当者から本当に買う気があるのか?と疑問視をされてしまい、物件が出てきても紹介してもらうことができなくなるのである。
逆に早くレスポンスをしておけば、やり取りをしていくうちに、徐々にお互いのピントが合ってきて、良い物件に巡り合うことができる確率は格段に上がってくるのである。
このように、まず良い担当者かを見極めて、自分も良いレスポンスをすることで、良い物件に巡り合うことができるはずである。
とはいえ、自分にとって良い物件に巡り合えるかどうかは、縁ものであることが多い。ものすごく不動産のことを、じっくり時間をかけて勉強しても巡り合えない時は巡り合えないし、逆にあまり勉強していなくても、たまたま良い物件を契約できるケースだってある。(が、自分の勉強不足が故に悪い物件を良い物件と見誤るケースも少なからずある…)
しかし、確率論的にはある程度勉強して自分に物件の選球眼をつけたうえで、最後はプロのアドバイスも受けながら契約につなげられれば良い不動産を見つけることができるのではないだろうか。