限界マンションに将来性と持続可能性は一切無い!

限界マンションに将来性と持続可能性は一切無い!

限界マンションのオーナーが今後自分のマンションをどうしていくべきかという問題に直面しています。限界マンションというのは、その名の通り、維持管理に限界が来てしまったマンションのことで、築年数も古くなってしまい、借り手がなかなかつかないマンションのことを示しています。

マンションが増えた歴史と変遷

マンションというのは、主に1970年代あたりからものすごい勢い量産され始めました。当時は、一戸建てが買えないから仕方なくマンションを買うという位置づけだったのですが、バブル前後の1990年代くらいから六本木で5億円のマンションが建設されたなどのニュースが報道されたことによって、都心部のマンションが注目されるようになり、「マンション=高級」というイメージが次第に浸透していきました。

今となっては、不動産の資産性を語る上では、建物自体よりも立地が最優先される為に、立地が良いと言えばマンションということから、すっかりマンションの地位は上がってきたのです。

事実、2012年の政権交代以降に価格を上げてきたのはマンションのみであり、一戸建ての価格はずっと横ばいもしくはマイナス気味でした。しかし、最近では超低金利とマンションと一戸建ての金額差による割安感によってようやく少しだけ調子を上げてきたようです。

現在求められているマンションのニーズ

マンションがこうしてドンドン建設されるのはいいのだが、最近の新築マンションというのは、「駅チカ」、「駅直結」、「駅前」、「都心」、「大規模タワー」のように値の張る物件ばかりになってきています。車離れも相まって住民が電車の利便性を求めるようになってきたからではないでしょうか。

都心に限らず郊外の住宅街に住んでいる人でも、駅から離れたところというよりは、「駅前」、「駅チカ」、「駅直結」の条件に集まってきていることから、駅前のマンションであれば、少々値段が高くても売れてしまうのが現実となっています。一方で、駅から徒歩10分以上もしくはバスに乗らなければならないような立地のあまり良くない物件については、売ることも貸すこともできない現象が発生し、これが限界マンションを生み出している要因となっています。

 

 

迫り来る日本の人口問題によるマンションのスラム化進行

日本の人口問題として、団塊の世代(現70歳前後)を中心とする人口ボリュームゾーンが10年~15年後にはごそっと抜けてしまいます。彼らがいなくなってしまった際に、彼らが住んでいた古いマンションの借り手がいなければ、管理費も修繕費も徴収できません。もしそうなれば、管理はままならないし、修繕だって行えない、部屋も空室だらけ、などの問題が発生し、スラム化するマンションがたくさん出てくることになってしまいます。

では、その物件を新築マンションに建て替えるのか?という話ですが、上段でも触れたように、そもそも求められているニーズが「駅前」、「駅チカ」、「駅直結」という中でバス乗車が必須のような立地に新築マンションを建てたところで意味がありません。

立地の良くないマンションの建て替えは理に叶わない

もちろん物件規模や共用部の豪華さによるのだが、標準的なマンションであれば、足元の価格でいうと建て替えに必要な資金は一人当たり3,000~3,500万円と言われておりますが、こうした金額であることからもハードルは高いのです。

今までに日本においては600万戸のマンションが建てられてきたが、その中で建て替えが実現できたマンションはほんの270事例しかないようです。つまり、よっぽど立地の良い需要のある場所でしか建て替えは進んでいかないと考えています。

立地が良いが老朽化したマンションであれば、デベロッパーが買い取り、階数を増やすことで、容積率が増やし、余剰分を販売することで利益を捻出することが可能となります。しかし、駅から遠い立地の売れるはずもないマンションを建て替えることにならないので、経済合理性の観点からも成立するはずのない話なのです。

こうしたマンションを救うソリューションがあるとすれば、国や自治体が住宅の総量の管理を行わなければなりません。そうすることで、駅からある程度離れた場所でも住まざるを得ない形を形成してしまうのです。

例えば、神戸市三宮であれば、元々容積率900%であったものを400%までに縮小すると言っています。これは事実上、タワーマンション建設禁止と同じ意味を持っています。また、東京都中央区でも人口が増えすぎていることを受け、これ以上人口が増えないようにマンションの建設制限を掛けています。こうした制限を各地で行う必要なのかもしれません。

結局、限界マンションの行く末は?

それでも、借り手のつかない限界マンションはどうしたらいいのかという議論ですが、正直これは救いようがないと思っています。いかにクイックにその物件から撤退することを考えなければならないでしょう。ニーズのないところでいくら頑張ってもどうにもなりません。

そういう意味では、自治体が〇〇地区の空き家率が〇%を超えたら、利便性の高いマンションに引っ越すように促すことが必要なのではないかと思っています。それができないようでは、いつまでも管理も修繕もインフラ整備も進まない危険なマンションに住み続ける人が少なからずでてきてしまうでしょう。

尚、文中意見にあたる部分は、個人的見解に基づくものであることを念のため申し添えさせて頂きます。

 

 

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