元本保証の高利回りなんてものは存在しない。
昨今、よく耳にする投資詐欺被害報告。
詐欺被害に遭ってしまう人はどの時代も同じような方法に引っかかっているような気がする。
毎度毎度、耳にする投資詐欺の共通キーワードはこれしかない。
元本保証の高利回り
話を持ち掛けてきた人間からこのワードが出てきた時点で、その投資案件はかなり疑い深い、そして胡散臭いものだと考えなければならない。
もしこの世にそんな投資案件があったとしても、あなたになんて舞い込んでくるはずがない話である。
よくよく考えてほしい。(いや、よくなんて考えてなくてもわかるのだが、騙されている人も一定数いるのも事実)
超低金利時代が続いているこの国、日本において元本保証をしてくれて、且つ高い利回りを約束してくれる案件など存在しないのである。いや、するはずがない。
こんなあたりまえの前提がありながらも、騙される人が少なからずいるのが、とても悲しい現実である。
日本証券業界(JSDA)の調査によると投資詐欺(株や社債を語った詐欺)による被害は、減少傾向にはあるものの平成30年においては2億円ほどの報告になっているようだ。おそらく被害届として報告されていない案件も含めると二桁億円に到達していてもおかしくはない。
平成29年には、「テキシア詐欺」なる投資詐欺が、人数にして13,000人、総額460億円にものぼっていたことは記憶に新しい。まさにこのテキシア詐欺が謳っていたのは、「一口100万円で毎月3%の配当が支払われる。1年後には、元本を償還するか、契約を継続するかを選択できる。」といったものである。まさに高配当と元本保証を謳い、高齢者を中心に多くの会員を募って投資資金を集めたのだ。
投資案件の利回りと定期預金の金利を比較してみよう
日本において、元本保証を謳っている金融商品と言えば、定期預金が代表的なものである。
しかし、現在の超低金利時代においては、その定期預金の金利は年率0.01%程度である。例え、1億円を預けていても年間で受け取れる利息はたった10,000円である。
つまり、この金利がまず基準となってくる。いかに多くの人が騙されている投資詐欺案件が理にかなっていないものであるかわかるだろう。
もちろん年間の利回りが10%以上になる高利回りの商品は存在する。しかし、その分リスクは高い。ほぼ全ての金融商品・投資案件においては、ローリターンであればリーリスクであり、ハイリターンであればハイリスクなのである。
現に私が投資しているブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)という米国株(英国株)の利回り7%〜12%の世界一の高配当株として知られているが、そこには株価変動リスクも為替変動リスクもあり、元本保証なんてものは存在しない。
無知というのはとてもとても恐ろしいことで、人間はおいしい話が目の前に転がってきて、しかも、その投資案件に「今日中に決めてもらわないと枠が埋まってしまう」などの返答期限があったりすると判断能力が低下してしまい、めでたく投資詐欺案件にサインしてしまうのだ。
投資詐欺に引っかかってしまう心理状態
全ては「安定」という二文字のキーワードに尽きる。こういった投資詐欺に遭う人の中には総資産が数億円にも上る人も多く存在する。上記でも書いた通り、元本保証で「安定的」に資産を増やせると聞くと心が揺れてしまうのだ。
毎月配当3%なら1億円を1年間だけ預けておけば、複利で1億4,300万円か~その配当だけ受け取ってからやめればいいや、と。
年利43%の利回りで元本保証なんて絶対にありえない。「年利43%」なんていうと不自然感を与えるので、月利3%なんて言い換えてきたりもする。あの世界一の投資家、ウォーレン・バフェットでさえ、年間の利回りは20%である。年利43%で回せる美味しい投資案件があれば、数千億円でもすぐに投資に回すでしょう。(年間20%の利回りでさえ、毎年続けれたらバケモノの領域です…)
なぜ騙される人々が「安定」という言葉に弱いか。特に日本人は、やはり投資に対する恐怖心がものすごく強いからである。失敗してお金を溶かしてしまったどうしようというマインドが強いのだ。
結局、安定という言葉に踊らされ、本当にその投資案件が安定かどうかも判断せずに投資をした結果、めでたく元本保証どころか元本もろとも溶かしてしまうのである。
投資の本質を理解しよう
投資をする人の中には、一発デカい当たりを当てて、一気に億万長者になろうとする人がいる。もちろんこれが叶うのも投資の魅力であるが、多くの人はそんなことは実現できない。あなたがいきなりプロ野球界に入って三冠王になれるわけがないのだ。(たまーーーーーーーーーーーーーにビギナーズラックで資産を10倍にする人もいるが)
投資詐欺に遭う被害者の多くは投資初心者で、その詐欺案件が初めての投資であることが多い。投資をする前にはまず基本的な知識を得ることである程度、その案件がありえないものかどうか判断できるはずである。よく私が他の記事でも使うワードだが、投資に限らず、どの世界でもそうだが、「無知はカモ」以外の何者でもないのである。