金融庁発表の老後に必要な資金2,000万円の計算前提を知っていますか?

金融庁発表の老後に必要な資金2,000万円の計算前提を知っていますか?

金融庁の報告書が明らかにしたように、事実上「年金制度」が崩壊する可能性を示唆した。内容としては、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦)が定年後95歳まで生きるためには、年金の他に約2,000万円の貯蓄が必要となるとのことである。

この発表を受けて、どこか自分には関係ないことだと思ってはいないだろうか。おそらくあなたたちが定年を迎えて苦しんでいても、日本は何もしてくれない。いや、してくれないのではない、何もできないのだ。

厚生労働省の調査によると、貯蓄を取り崩し始める60歳代で貯蓄2,000万円のハードルをクリアしているのは、わずか22%だけだそうだ。

と、ここまで金融庁発表の2,000万円を前提としたが、この2,000万円の計算前提をご存じだろうか。発表を鵜呑みにしてはならない。

2,000万円 = 約5万円/月x 12ヶ月 x 30年

が、計算の根拠だそうだ。

果たしていくら受け取れるかもわからない年金と5万円で、夫婦2人で死ぬまで暮らしていけるであろうか。おそらく2,000万円というのは、夫婦共々、それなりに健康体で医療費や介護費がそこまでかからない前提で、かつそれほど贅沢せずに生活した前提だと思っている。

食事代、家賃、光熱費、スマホ代、娯楽費、孫への小遣いなど使っていたら、すぐに底をつくであろう。しかも、これから高齢化社会がどんどん加速していくと、医療費制度や介護制度だっていつ破綻して負担額が増加するかわからない。事実、公的な老人ホームや介護施設でさえ月額6~15万円はするし、民間施設であれば安くても10万円、高ければ30万円以上にもなる。

仮に65歳までに2,000万円貯金だとすると新卒の22歳時点から貯め続けても毎月約40,000円、30歳から貯め続けたとすると毎月約50,000円の貯金が最低限必要だ。日本の平均年収がたった400万円、東証一部上場企業の平均年収でさえも600万円に届かない残念極まりない世の中で、家族を養いながら2,000万円を貯めるのは大変なことであるのに、死ぬ気で貯めたところで結局足りないのだ。

20代くらいから40年間もしんどい想いをして働いて、ようやく老後をゆっくり過ごそうとしたときに、苦しい生活が待っているこんなひどい人生があるだろうか。

これから国が「老後資金2,000万円必要」、「人生100年時代」を強調していけば強調していくほど、国民の消費意欲は冷え込み、税収もつられて落ち込む。さらには、直近の話題で言うと消費税引き上げも迫っている。こんなことでは、国全体の景気などよくなる訳がないと思う次第である。

このタイミングで金融庁がこうした発表を行った背景には、消費税以外の何かの増税に持っていくための布石なのではとも考えている。(まさか累進課税引き上げとか!?やめてくれ。)

私たちは、どうにかして老後を豊かに生き抜く為に、今こそ自ら資産形成をしていかなければならないのである。日本は資本主義社会であるから、最後は自分でなんとかするというのが前提。日本は私たちのことなど助けてくれない。

関連記事でいかに預金だけしていることが、機会損失を生んでいるかを書いているので、興味あれば併せて読んで頂きたい。

 

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